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貫録 [独り言]

 私が仕えた姑さんは、京都生まれの美しい人でした。私の夫が末っ子だったせいもあったか、嫁の私は、あまり気遣いをする事もなく、小言を言われたこともないけれど、其処に居られるだけで、色々真似をしようと思わせる貫禄がありました。1度、真冬に突然住まいに伺った折、驚いたことに、この寒いのにバケツに冷たい水を入れて雑巾を絞って庭に面した板の縁側を一生懸命拭いて居られたので、手伝おうとすると、「良いのよ、明日お父様が帰るので少しキレイにしようと思って」と笑って、商船会社に勤め、航海で半年にしか帰れない義父の帰りを待つ妻の顔を見せてくれた。毅然とした姿と笑顔を持つ姑さんを私は、好きでしたが、あの貫禄を私は、持っていない。情けないけど。生来の才能か、京都生まれの育ちか、留守がちの夫が居て7人の子供を立派に育てた生き方か、頑張ったつもりだったけど、長男から末っ子まで6人の嫁は誰もあの貫禄はないかも。でも良い人でした。なんて今、何故か思い出しました。お盆のせいかしら。

彌 叡
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